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コロナ禍で読む、ノーベル賞作家カミュの代表作『ペスト』と不条理

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小説
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概要

『ペスト』は1947年に出版された、フランスのノーベル文学賞作家アルベール・カミュの代表作。不条理文学の代表作でもあり、第二次世界大戦後の惨禍を踏まえて記された作品。ペストの発生という状況が類似していることから、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴って再び脚光を浴びた。

解説

カミュの不条理とは

一般的な意味では、「筋道が通らないこと」「道理に合わないこと」であり、「この世は不条理に満ちている」などの使い方をされる。文学的な文脈では、理想と対立する無慈悲な運命と言う意味になる。具体的には、戦争による死や殺人、病気などによる災禍などが挙げられる。

カミュの不条理文学とは

生きていく上で我々は様々などうしようもない不条理に直面する。しかし、我々は受け入れなければならない。そして、その姿勢が人々の繋がりを生むとするのがカミュの不条理文学だ。我々は人生に意味を求めがちである。しかし、不条理を受け入れるとは世界に客観的な意味は無いと理解することであり、世界を主観的に理解することが幸福につながるとするのだ。

感想と考察

コロナ禍で読む意味

コロナウイルスは本作のモチーフである「ペスト」と同様に感染症であり、作中でも我々の置かれた状況と似たような光景が描写される。冒頭の予兆(ペストではネズミの大量死、コロナウイルスは中国での拡大など)に始まり、都市封鎖や夥しい死者が発生していく。事態の長期化により人々が慣れていく中、ある時を境に潮が引くように沈静化する。

コロナ禍は本作の描写と実際の様子は酷似している部分も多い。著者はそういった体験をしたわけではないだろうに、見事な想像力には頭が下がるばかりだ。そして、難解な表現も多いが今であれば読み進めやすいのではないだろうか。

ペストによって変化した人

パヌルー神父は民衆の寄辺たる宗教の象徴であるが、当初はペストを神罰として説いていた。しかし、少年が亡くなる様子を目の当たりにして考えを改める。神を理想とする立場として死に意義を見出していたが、意味はないという不条理を受け入れる。

不条理、繋がりと幸福

新聞記者ランベールはオランの街から脱出して、愛人のもとに帰りたいと活動していた。しかし、リウーやタルーが人々のために働く中、ペストという不条理を受け入れて、街に残ることを選ぶ。人々を見捨てることを恥として、繋がりを大切にすることを幸福と定めたのだ。最終的にランベールは生還して愛人と再会するが、作中で大きな不幸に見舞われない数少ない人物となった。

まとめ

「なぜ私は生まれてきたのだろう」と考えがちな人生だが、意味など無いというのは私にとって斬新な考え方だった。肝要なのは、客観的意味の無い世界の中で主観的意味、つまり自分にとって何が幸福かを定めてやりたいことをやるということなのだ。

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